TRIO(アイドルショップ) 経営と、古い漫画本収集のお話。

TRIO(アイドルショップ) 経営と、古い漫画本収集のお話。

中野ブロードウェイでショップやろうぜ⁉️ 🌠🌠新年ゲストblog SP5️⃣part2 🎉🎉


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❇️❇️さて、ここからきっちりカウントダウンがはじまります。
トータルしてみると、個性的な書き手のお店の本が好きな傾向があるような気がします。

9位
岡崎武志×古本屋ツアーインジャパン古本写真集 盛文堂書房 
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先ほど文庫にて再発された野呂邦暢の「古本屋写真集」も良かったけれど、こちらも良かったです。

野呂さんの本は、東京の1970年代の古本屋の様子が分かって良いのですが、こちらは1980年代後半~2000年代。いくぶん新しくて、全国いろんな場所の店が納められております。

その中には何軒か知っている古本屋さんがあって、それらの店のありし日の姿が。あっ痛快洞だ。デラシネ書房、坂田賛化堂もある!今では店舗が無くなって、この写真が当時の姿を伝える貴重な資料となっております。
もうこの店に行くことが出来ないんだと思うと、これらの写真が愛おしく、この本をずっと大切に傍らに置いておきたいと思うのです。

あっ、そうそう。この写真集を見て、私が働いてた「キララ文庫」も写真が残ってないか探したのですが、自分の働いてたお店の写真なんてなかなか取って無いですね。どなたかお持ちの方がいらしたら、拝見させてください。


8位
藤井基二 頁をめくる音で息をする 本の雑誌社 
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最近買った本。一見タイトルからすると、文学的で難しそうかな…と思いつつ読み始めると、予想以上に読みやすく、一気に最後まで読んでしまいました。

まず23歳で古本屋を始めたというのが凄い。私も若い時に古本屋をやりたかったですが、何をどうしたら良いか全然分かりませんでした。実際に彼のお店に行ったことがありますが、古い建物をうまく利用して、尾道という土地柄に合った店づくりをしてると思いました。

深夜に営業していて、いろんなお客さんが来るくだりがいいですね。わたしが働いてた店も午前2時くらいまで開いてて、いろんなお客さんが来てたのを思い出しました。

一つ一つの文章に詩のように味わい深く、読了後に心地良い余韻が残りました。

7位
カラサキアユミ  古本乙女の日々是口実  皓星社 
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2018年頃、ツイッターを何気なく見てたら、「古本乙女の日々是口実」の告知があって。古本関連の漫画って珍しいから、ネットにて即買いさせていただきました。

到着した本をすぐ開けて読むと、著者がまだ20代と若くて「そんな若い世代でも古本に夢中になるんだ」と驚かされました。
内容は古本屋巡りをしたことがある方なら誰でも共感するようなエピソードが満載。ギャグタッチで綴られており、途中何度も笑ってしまいました。

あっという間に読み終わってしまい、「この作者の文章や漫画をもっと読みたい!」と思い、日々ツイッターを読み、ついには尾道で開催されたイベントでは直接お会いして、サインまでいただいたのでありました。


6位
前野久美子 ブックカフェのある街 仙台文庫 
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前働いていた古本屋にいた頃(2000年頃)、「仙台にブックカフェがある」という話を聞いておりました。その頃はまだブックカフェが珍しく、その魁だったと思います。

「ぜひ行ってみたい!」と思いつつ、私も古本屋として独立して数年が過ぎ、前野さんの本が出版されました。それを手に取ったのが2011年の終わり頃で、その本を読んでさらにその思いが強くなりました。

ドイツ在住中に見たブックカフェのことや、仙台にてブックカフェを始めるまでのいきさつが強く印象に残りました。特にテナントの場所を決める時のエピソードは、前野さんの「仙台でブックカフェをはじめたい」という強い情熱が通じたようで、読んでいてアツくなったのを覚えております。

二年ほど前、仙台で古書組合の大市が開催された時、念願かなってお店に行くことができました。美味しいお菓子と飲み物をいただき、前野さんとお話も出来て、感無量でありました。

5位
田中美穂 わたしの小さな古本屋 洋泉社 
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「古本屋ってどうやって始めて、どのようにやっていったらいいんだろう?」若い頃古本屋になりたかったけれど、私には何をどうしたら良いのかさっぱり分かりませんでした。

田中さんの本を読んでいると、21歳という若さで古本屋を始めたのに驚きました。その道は順調とは言い難く、最初の10年程はバイトと掛け持ちでお店をされていたのだそうです。文章を読んでいると、手探りで少しづつ自分の店を作りあげていった印象を受け、頭が下がる思いがします。文章が非常に読みやすく、いっきに最後まで読ませていただきました。

実際にお店に行ったことが二度あります。倉敷の美観地区という古い町並みの中にあり、こちらも古い建物。お店の前には多肉植物などの鉢が幾つも並び、絵になりそうな佇まい。中に入ると、古書や古本、漫画などがバランス良く並び、古本屋としてなんて魅力的なんだろうと呆然。あまりにも緊張して、挨拶できませんでした。恥ずかしくって…後悔してます。


ラスト4冊は古本屋をやっていくうえでかなりの影響力を感じた本です。といっても、自分の店を見ても実際にどう影響受けたなんて分かりません。たぶん精神的な何かしらを受けてるにちがいない。そう思うことにします。

4位
広瀬洋一 西荻窪の古本屋さん 音羽館の日々と仕事 本の雑誌社


 
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東京の多くの人から愛される店、音羽館。あとに続く古本屋さんにも影響を与え、「音羽館さんが好きで通っていた」というお店の方にお会いしたことがあります。

本書には音羽館店主の広瀬さんの、お店をはじめる前に高原書店で修行されて、自分のお店をオープンされる様子が描かれております。まず読んで驚かされたのが、売り上げのほとんどが店売りが占めているということ。うちはネット売りと店売りの両方をやっておりますが、ネット売りの比重が高く、店売りだけではとてもじゃないけれどやっていけません。周囲を見ても店売り一本で影響されてるお店が少ない状況です。ネット売り全盛の現在、店売りには限界があるのでは…という時にこの本を手に取り、「まだやれるかも」と思った記憶があります。

やはり東京という土地柄もありますが、店主の地道な努力があってからこそと思いました。実際に三度ほどお店に足を運んだことがありますが、欲しい本がたくさんある上に、買いやすい値づけ。何冊か購入させていただきました。

読んでいると、店売りで大切なことが書いてあるんです。「いちばん肝心なのはその町に店がフィットしているかということ」「個人商店ということでいえば、町の八百屋さんと変わらないと思います」等々。店売りこれからどうしようかな~と悩んでると、自然にこの本に手が伸びてます。


3位
宇田智子 那覇の市場で古本屋 ボーダーインク 
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始めて沖縄を訪れたのは2015年の2月でした。兵庫古書組合の旅行で訪れたのですが、その中で古本屋さんを3軒回りました。

その2軒目が宇田さんの店で、本棚にある漫画に自然に手が伸びました。新里堅進の漫画。「水筒」「沖縄決戦」等の戦記モノの作者です。以前読んで印象に残ってました。彼は沖縄出身の作家で東京の出版社だけでなく、沖縄でもこうして単行本を出していたことに驚きを感じました。

沖縄から帰ってから宇田さんの本を読みました。ここではじめて彼女がジュンク堂で働いたことや、辞めて古本屋をはじめたことを知りました。この本はそんな経緯とともに、沖縄のみで発行される県産本の魅力が分かりやすく描かれております。文章も魅力的。すぐに読み終えてしまいました。本の影響は絶大です。それから僅か二ヶ月後に自分が元働いていた古本屋の店長と一緒に沖縄に古本屋巡りと、沖縄本探しの旅に出たのですから。

あれから7年間、結局トータルで8回ほど沖縄へ行くこととなってしまいました。

電子書籍のシェアが増え、紙の本が売れないと言われる昨今。本というものがまだ可能性を秘めているのではないかと思いました。自分に新たな視点を与えてくれた本です。


2位
戸川昌士 あなもん 株式会社Pヴァイン 
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2005年、九州から神戸に越してきた頃。知り合いの九州の古本屋さんが「ふらりさんには神戸でまだ友達いないだろうから…」なんて妙な気を利かせて案内してもらったのが「ちんき堂」でした。

正直これがかなり嬉しかったです。ちんきさんの店って、マニアックな感じでそそられるものがあります。しかも値付けが良心的なものが多く、そこで聞く話がまた面白い。お客としては最高です。それから15年以上に渡って、ことある毎に店に足を運んでおります。こんな店なかなかないですね。

この本はそんなちんきさんの、いろんな趣味趣向、古本屋の生活ぶりが伺える一冊です。この本の今までのちんきさんの本と違って、カラー写真がまず目を惹きます。

漫画・音楽・美術等、文章も夕刊掲載なのかたいへん読みやすく、でも内容はマイルドにしてあるとはいえ限りなくマニアック。王道と呼ばれるものだけでなく、B級C級にまで話が及びます。こちら方面が好きな方にはたまらないでしょう。しかし読んだ一般の方はディープな内容に驚かれたにちがいないと思います。連載10年分という凄い分量ですが、一篇あたりのページ数は2~3Pと短く、合間合間に読めます。

そういえば、お店に遊びに行くと、時々この新聞連載のネタについていろいろ解説をしていただいたりしたことがあります。その度に知識力や目のつけどころに驚かされたりしたものです。

1位
橋本博 教養としてのマンガ 扶桑社新書 
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昭和63年。高校を卒業してめでたく熊本市にて浪人。そこで古本屋巡りをして出会ったのがキララ文庫の橋本先生で、店にはずらっと古い漫画が並んでて見てるだけで興奮させられ、話してると楽しくて楽しくて。「勉強を教えてあげるから明日からおいで」と言われたんです。即答で「はい」。塾の先生もされてたので、それから呼ぶ時はずっと「橋本先生」です。

そこでの生活は漫画に囲まれた夢のような日々でした。最初のうちはかなり丁寧に勉強を教えて頂いていたのですが、それと平行して漫画のことも。お店は夜中まで営業していて、お店が終わるのは午前1時とか午前2時。お店でも漫画の話をしていたのに、そこからまた24時間営業のうどん屋さんで漫画の話が始まるんです。うどんを食べ終わると次は明け方まで営業している温泉へと行き、さらに話が続く。自宅に帰るのは明け方のことがよくありました。「あれ?ここに勉強しにきたのになあ」気が付くと、漫画の魅力から離れられなくなってしまったんです。

この本でいうと、第一章「ゴミと宝は紙一重」第二章「おじいさんのマンガ道」第三章「古本屋店主から見たマンガの歴史」あたりの内容です。それらの知識はお店のバックヤードに並べてある膨大な漫画関連の雑誌記事のスクラップや漫画関連の書籍から産み出されたものでしょう。今でこそ漫画関連の情報はインターネットをはじめ、書籍なども数多くっておりますが、30年以上前は限られたものだったんです。

当時から「熊本に漫画図書館を作り、そこに過去の漫画を集めて収納するんだ」と語っておられた先生。その夢は叶い、熊本県合志市の熊本マンガミュージアムの館長となったのです。その辺りのいきさつもこの本の後半に詳しく書かれております。

塾の先生をされていた橋本先生の文章は、どこかアカデミック(学究的)。今思うと大学行く前のキララ文庫が学校のようなもので、実際の学校の勉強よりも面白く、ためになるものでした。今古本屋になって続けられてるのも、キララ文庫での足掛け15年という、長い下積みがあるからかもしれません。


おしまいに

今回いろんな古本屋さんが書いた本をピックアップして、最終的にちんき堂の戸川さんの本とキララ文庫の橋本先生の本をそれぞれ1位と2位に挙げましたが、この二方の著者を読んで「あっ」と驚いたことがあります。

お二方とも小さい頃買っていた漫画雑誌を親に捨てられたという共通の経験があるんです。しかも漫画週刊誌を創刊号から揃えていて、ある日親にいきなり捨てられるという展開。加えて大学を出て塾の先生をしていたという経歴までおなじ(世代も同じ)。びっくりしたと共に、その経験がのちのお店の趣向に繋がっていったように思えます。

この二店舗に惹かれる自分も、どこか共通点があるのかもしれません。自分の場合、両者のように知識が十分じゃないので出来るだけ市場を巡ったり、お客さんから買い取った本を触ったりして、これからも本について勉強していければと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございましたm(__)m

☝️……. ふらり堂さん 長篇blog有り難うございました🙇🙇

ご協力感謝いたします。

私も連続blog200回達成迄頑張りマス🙌🙌

明日から、中野ブロードウェイでショップやろうぜ⁉️ レギュラーblog続きます。。